木材を塗装するのに使うオイルステイン。イメージ通りに仕上げるのがけっこう難しく、プロでも失敗することがあります。
塗るのは簡単なんだけど、なんか仕上がりがキレイにならない、、、
- 色がムラムラになった
- 思ってたよりも色が濃くなった
- イメージした色と全然違う
こういった経験はよくあることです。オイルステインをイメージ通りに仕上げるには、準備段階ですべて決まると言っても過言じゃありません。
この記事では、オイルステインをきれいに塗るために不可欠な準備や塗装方法、失敗したときの対処法を解説します。
プロが使っているノウハウを公開。ぜひ試してみてください。
テクニック論ではないので、初心者でも実戦できますよ!
オイルステインをきれいに塗るコツ|失敗しないための3つのポイント
オイルステインをきれいに塗るためには、「塗る前の準備段階」ですべて決まります。
塗る技術はそこまで必要ありません。サッと塗ってスッと拭き取る。冗談に聞こるかもしれませんが、これがすべてです。
塗り方のコツはあとで解説しますので、今はまず準備に集中してください。
- 木材に傷がつかないよう均一にペーパーかける
- 塗料を希釈してイメージ通りの色味にする
- 塗装する前に必ず試し塗りで仕上がりをチェック
この3つをしっかり守れば失敗は減ります。というかこの3つを守らないと無理です。
地味な作業ですが、きれいに仕上げるためにグッとこらえてください。
住宅の内部塗装を100件以上こなしてきましたが、この3つを欠かしたことは1度もありません。そのくらい重要です。
木材に傷がつかないよう均一にペーパーかける
使うペーパーは#240〜#400版くらいでOKです。あまり細かいペーパーを使うと磨きがかかり、きれいに色が入らなくなるので注意してください。
- 木目にそってかける
- 角(面)や木口をしっかりかける
- ペーパーをかけすぎない
塗る前にペーパーをかけることで、肌の仕上がりがザラザラになってしまうのを防げます。
木目にそってペーパーをかける
必ず木目にそってペーパーをかけないと、傷になってしまいます。
木の繊維にそってペーパーをかけるという感じですね。木目とは違う方向にかけると、ひっかき傷になり、色を付けたときにクッキリ出てしまいます。
角(面)や木口をしっかりかける
角や面を触っても痛く感じない程度に、しっかりかけてください。
角がツクツクのままだと、せっかく塗った色が取れやすくなってしまいます。色が剥げてしまうのを防ぐためにも必ずやっておきましょう。
木口は毛羽立ちと吸い込みが多いので、色をつける前にしっかりペーパーをかけておきましょう。
地味な作業ですが、頑張りましょう!
ペーパーをかけすぎない
ペーパーをかけすぎるのもよくありません。磨きがかかって色が入りにくくなります。
全体が粉をふくようになればOK。ペーパーをかけるのは、塗装を入りやすくするための「目荒し」の役割があるため、ほどほどにきれいにしておきましょう。
サンダーを使うことで、ムラなくペーパーをかけられます。
塗料を希釈してイメージ通りの色味にする
オイルステインは、希釈して使うことでいい感じのビンテージ風になります。水やシンナーで薄めることですね。
- 少しずつ薄める
- 試し塗りをする
- 拭き取りしてチェック
オイルステインは、原則として拭き取って仕上げる塗料なので、拭き取るタイミングも頭に入れておいてください。
色の濃さが決まるのは「希釈」と「拭き取るタイミング」。この2つの関係は絶対なので、必ず守ってください。
また、試し塗りするときは「塗った瞬間の色味」をチェックしてください。乾くと色が薄くなるため、薄いなぁと思って濃くしがちなんです。
オイルステインは「ちょっと薄いかな」くらいが丁度いいんですよ。ニスを塗ったら色が際立ちますので。
希釈と拭き取りのタイミングのバランスについて
基本的には希釈で色を調整するのですが、拭き取りのタイミングでも色味が変わります。
- しっかり色を付けたい場合は少し長めにおく
- 色を薄くしたいときは早めに拭き取ってしまう
完全に乾くと拭き取れなくなってしまうので、注意してください。
塗る面積が広い場合には、希釈の量を多くしましょう。原液のほうが乾きは早いです。
塗装する前に必ず試し塗りで仕上がりをチェック
試し塗りの最終確認です。同じ木材の切れっ端で試すのがベスト。
- 塗料の色味
- 拭き取るタイミング
- ニスを塗った仕上がり
小さい切れっ端の木材でいいので、必ず本番と同じ工程で塗ってください。もちろんペーパーもかけてくださいね。
ここでイメージ通りに仕上がらない場合は、本番でも無理です。ここで塗る感覚を掴んでおいてください。
仕事のときは「色合わせ」もあるので、失敗できない一発勝負に向けてガクガクですよ。
オイルステインをきれいに塗る方法
オイルステインの塗り方は「サッと塗ってスッと拭き取る」。ホントこれだけです。
ただ、テクニックですべてカバーするのは難しいので塗る環境を考えていきましょう。
- 周りが汚れてもいいように養生する
- 窓を閉める(風を通さないようにする)
- 暖かい部屋はNG・寒いくらいが丁度
とにかく塗ることに集中できる環境がベスト。
周りが汚れてもいいように養生する
周りに塗料が飛び散ってもいいように、広めに養生しておいてください。ブルーシートも全然ありです。
塗るものが小さく、シンプルな作りならいいのですが、大きい場合は養生も広いほうが塗りやすいです。
オイルステインを塗るのは、技術よりもスピード勝負なので、周りの汚れを気にしていると塗るのが遅くなってしまいます。
塗るのが遅い→乾く→仕上がりが悪くなるという感じですね。
窓を閉める(風を通さないようにする)
乾きには「風」が大敵です。そのため、外で塗るのはあまりおすすめしません。
外でしか塗れない場合もあると思うので、無理は言いません。ただ風が強い分、乾きも速いので、塗るスピードが必要になってきます。
外で塗るなら寒い時期のほうが適しているといえますね。
暖かい部屋はNG・寒いくらいが丁度
気温にも注意しましょう。とくに夏場は塗りにくいので、仕事では「リターダー」という乾きを遅くするための添加剤を使っていました。
オイルステインに適量添加するだけで乾きが遅くなるため、夏は大活躍。必須アイテムでした。
冬場は気にしなくてOKですね。ただ、塗っている最中は暖房はOFF推奨です。
今回、水性のリターダーを探していたら、以下の商品が見つかったので載せておきますね。
水性の絵の具に使うリターダーです。なんかいい感じですが、使ったことがないため、無責任に置いておきます。
オイルステインを塗って失敗したときの対処法
「オイルステインの色が濃くなってしまった…!」
「色がイメージとぜんぜん違うじゃねえか…!」
こんなこともあるかと思います。という僕もオイルステインの着色で失敗した苦い経験があるので、そのときに試した方法を紹介します。
- 水やシンナーでゴシゴシ拭く
- ひたすらペーパーで落とす
多分方法はこの2つしかないと思います。とにかく色を落とすしかありませんよね。
実際に失敗したのは「溶剤」だったので、水性塗料でどれだけ効果があるかわかりません。
先に言っておきますが、色を直すくらいなら新しい木材を買ったほうが早いです。そのあたりを理解したうえで挑戦してください。
水やシンナーでゴシゴシ拭く
木材に染み込んだオイルステインを完全に拭き取るのは不可能です。少し薄くなる程度ですので、あまり期待しないでください。
水性塗料で試したことはないのですが、水拭きも試してみてください。おそらく無理だと思うので、その場合はラッカー薄め液で拭くしかありません。
多少は取れるはずなので、許せる範囲であれば作業終了です。もしニスを塗ったあとだったら、最初からラッカー薄め液でいきましょう。
- 塗ったあとなるべく早く拭き取る
- 時間が経てば立つほど条件が厳しくなる
- 思ったような効果がない場合はあきらめる
とくにニスを塗ってしまった場合は、時間が経つにつれて硬化が進むので一刻も早く作業を進めてください。
元通りになることはないので、あまり時間をかけないほうがいいですよ。
ひたすらペーパーで落とす
ペーパーをかければけっこうきれいに落ちます。#80→#120→#240のように、ペーパーの段階をあげていきましょう。
#40など、粗すぎるペーパーは傷の原因になるので使わないほうがいいです。
ただこの作業はめちゃくちゃ時間がかかるため、あまりおすすめしません。
オイルステインが木材にけっこう深く浸透しているので、かんなで削ったほうが速いレベル。1枚の板ならいいのですが、本棚とかテレビ台になると厳しいですよね。
削った分だけきれいになるので、時間があれば試してみてください。
僕の経験では、1面が80センチ角くらいの「コの字型の棚」で、ニスと色を落とすだけでも半日くらいかかりました…。
おすすめのオイルステインを紹介
オイルステインは「水性」がおすすめです。とにかく使いやすいですしね。
いちおう油性の説明しておくと、油性のほうが発色がきれいです。
塗料の色の成分である「顔料」は油性の方が粒子が細かく「木の繊維」に入り込みやすいからですね。ただ、目で見て違いが確認できるのは、赤や黄色などの鮮やかな色くらい。
最近の水性オイル」ステインは性能が高く使いやすくなっているので、気にする必要はありません。茶色系とかなら全然わからないレベルです。
「これじゃないとダメ」ってものはないので、自分が使いやすいものを選んでください。
仕上げのニスの塗装方法・注意点
ニスの塗装方法について簡単に説明しておきます。
オイルステインほどのスピードは必要ないので、「塗装のタレやたまり」に注意して塗っていけばOKです。
- 塗る⇒しっかり乾かす
- 乾いたらペーパーで研ぐ
- 手順①・②を繰り返す
使うペーパーは#400〜#1000くらい。塗る回数が増えるごとにペーパーの番手を上げていきましょう。
仕上がったあとは#2000番くらいのペーパーで、力を入れずにそっと撫でるような感じで「ホコリ取り」をします。
落ち着いた雰囲気に仕上げたいのなら、艶消しニスがおすすめです。
ニスは薄く2〜4回分けて塗装する
ニスは薄く塗り重ねることで、厚みをつけていきます。1回で仕上げようとすると上手くいかないので注意です。
最初は毛羽立ちがひどいかもしれませんが、だんだんと滑らかな肌になっていきます。塗る回数は様子を見ながら決めればOK。
ペーパーで研ぎながら2回ほど塗れば、厚みがついてくるのがわかるはずです。
とにかくやってみないと分からないことが多いですね。木材よって仕上がりも違います。
木材用シーラーやサンディングシーラーは要らないの?
基本的にニスだけでもOKです。ただ、サンディングシーラーを使うことで、塗装の仕上がりがきれいになります。木材用のシーラーはよくわかりません。笑
もし使うなら「サンディングシーラー」を使ってください。違いは以下のような感じですね。
- 木材用シーラー:吸い込み、ヤニ止め効果・ペンキ塗り用
- サンディングシーラー:吸い込み止め・素地をなだらかにする
使い方としては一緒なのですが、オイルステインを使う場合やニス仕上げのときは、サンディングシーラーのほうが適しています。
サンディングシーラーは塗装の厚みがつきやすいので、ニスを塗る回数が減り、作業が楽になります。
サンディングシーラーを使う場合の塗装方法
サンディングシーラーはニスを塗る前に使う塗料。使い方としてはニスと変わりません。
- オイルステインを塗る(着色)
- サンディングシーラーを塗る
- 乾いたらペーパーで研ぐ
- 手順②・③を2〜3回繰り返す
- ニスを塗る
- ペーパーで研ぐ
- 手順⑤・⑥を1〜2回して完成
工程の違いは、ニスだけで4回塗るのか、サンディングシーラーとニスをそれぞれ2回ずつ塗るのかっていう差です。
サンディングシーラーは主に「毛羽立ち」を取る役割があるので、ニスを塗る前にきれいなベースを作ることができます。
より肌触りの良いの仕上げを目指すなら、サンディングシーラーを使ってみてください。
まとめ:オイルステインの失敗を避けるにはスピードが命
オイルステインをきれいに塗るためには、下準備の徹底と、塗るスピードがカギ。テクニックだけではカバーできないため、準備には時間をかけてください。
- 木材に傷がつかないよう均一にペーパーかける
- 塗料を希釈してイメージ通りの色味にする
- 塗装する前に必ず試し塗りで仕上がりをチェック
準備さえきちんと出来ていれば、あとは塗るだけです。サッと塗ってスッと拭き取りましょう。
塗ることにはすぐ慣れるはずなので、だいじょうぶです!
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