ペンキといったら「刷毛」。こんなイメージがあるかと思います。
造りはシンプルで、棒の先に毛がついたもの。かなり原始的な道具ですよね笑
誰でも簡単に使えるものなんですが、実は使いこなすのがけっこう難しく、プロでも仕上がりに差が出ます。
ローラーを使う事が増えたとはいえ、必ず刷毛は使います。言うまでもなく塗装道具の必需品ですね。
この記事では、刷毛の使い方をサクッと解説します。
刷毛の使い方や塗料の準備など、基本的なことがメインの初級者向けの内容になっています。「なんとなく刷毛を使っている」という方は必見です。
尚、刷毛の上達には実践しかないので、だいたいイメージ出来たらとりあえず塗ってみましょう。
ペンキを刷毛で上手に塗るコツ
始めに言っておきますが、刷毛でペンキをキレイに塗るのは難しいです。
「どうしたら上手く塗れますか?」という質問は「どうしたらキレイな字をかけますか?」と聞いているのと一緒です。
答え⇒「とにかく練習しなさい」ですよね。
とはいっても、基本は大事。間違ったまま覚えてしまうと、変なクセがついてしまうので注意です。
抑えておきたいポイントをまとめたので、サクッと読んで実践しましょう。
刷毛の使い方の基本
刷毛の使い方は、説明を聞いたり、実際に塗っているところを見ても再現するのが難しいものです。
下記に基本をまとめました。なんとなくでいいので、意識して塗ってみましょう。
刷毛の使い方
- 鉛筆と一緒の持ち方
- 塗料は毛先2~3㎝しかつけない
- 毛先を使って塗る
- 刷毛の根本をしごく
ザックリこんな感じです。これだけできているなら「溜まり」や「透け」がないように塗っていくだけです。
ゴシゴシと擦りつけるように塗っている人はNGです。※オイルステインや自然塗料は擦りつけるように塗ってOK!
刷毛を使うのには「力」はいりません。刷毛を一定の角度に保って塗る事が大切。手首でクネクネ塗るのではなく、肘で引っ張るような感覚です。
刷毛は塗るものに対して「水平」に運んでいかなければいけないので、動かすのは手首ではなく「肘」です。
難しく考え過ぎると、ぎこちなくなってしまうかもなので「スーッと」テンポ良く塗るといい感じになってきます。
意識するのは「毛先」「肘」です。慣れないうちは20㎝ずつ塗るのがオススメ。20㎝は肘で引っ張り、そこから手首を使ってはらうイメージ。
基本手順は下記
- 手順1.塗料をつける
- 手順2.塗る
- 手順3.容器のふちで刷毛をしごく
手順1~3の繰り返しです。刷毛をしごくのは根元に溜まった塗料がボタボタと垂れるのを防ぐため。基本動作なので、刷毛をしごくクセをつけましょう。
塗料の希釈が大事
刷毛を上手く使うには「塗りやすい塗料」を使うのがポイントです。
塗っていて以下の事を感じたことはありませんか?
- 刷毛スジが出てしまう
- スーッと塗れない
- とにかく塗りにくい
こういう時は塗料を「希釈」しましょう。
希釈=塗料を薄めること。油性なら「シンナー」水性なら「水」ですね。
どんないい刷毛や腕があっても、塗料を適切な状態にしなければ上手く塗れません。使っていて違和感があったら、使っている塗料を見直しましょう。
- 素地の吸い込みが多い場合は薄めに
- 素地の吸い込みがない場合は濃いめに
基本的に水性は1回目を薄めに、2回目を濃いめにすると塗りやすく、油性は逆に2回目を薄めにすると塗りやすいです。
プライマーの使用等で状況は変わりますが、油性の塗料は2回目が突っ張って塗りにくいので注意しましょう。
失敗を気にしない
刷毛を上手く使うにはメンタルが大事。というわけではありません。
上手く塗ろうと思って慎重に塗っていると、逆に失敗しますよってお話です。
さっきも言いましたが、テンポ良く塗りましょう。いい加減なアドバイスに聞こえるかもしれませんが、これマジで大事です。
最初は自信がなく、チマチマ塗ってしまいがちですが、ほぼ上手くいきません。「失敗してもいいや!」くらいの気持ちで大胆に塗ってもOK。
リズミカルにテンポよく塗っちゃいましょう。
塗料は「乾き」があるので、塗るのが遅ければ遅いほど、仕上がりが悪くなる確率が上がります。できるだけ早く塗りましょってことです。
周りがペンキで汚れてもいい状態にする
ここからは塗装の下準備に関する内容になっていきます。
汚れてもいい服を着て、手袋をつけましょう。手袋は「軍手」がオススメです。使い終わったらクルっと裏返しにすれば、ウエスとしても使えます。
記事の前半で解説した、刷毛の使い方に集中できるようにするための大切な準備です。汚れを気にしていては気が散って上手く塗れません。
なるべく広めの範囲を養生する
塗らない場所を保護するために、マスカーやマスキングテープで隠すことを「養生」といいます。
- 道具1.細かい場所にはマスキングテープ
- 道具2.ガバッと隠すにはマスカー
マスカー550
マスカーが使いやすいですが、新聞紙でも代用できます。汚れなきゃいいんです。
刷毛を上手く使えるようになったら、周りを汚すことはありませんが、はじめのうちは無理だと思うので、広めに養生するのをオススメします。
塗る物の周り1mくらいの養生すればOK。慣れてきたら、養生する範囲を狭くすればいいかも。
とにかく周りを汚さない事が目的なので無駄に広くしておいても問題ありません。
自分が安心して塗れる状態にすれば、塗装に集中できます。養生がキレイな人は、塗るのも上手いです。「早く塗るため⇒養生」なので、かける手間を惜しみません。
数回こなせば、自分に合った養生の範囲が見つかるはずです。
養生のチリは2~3mm
チリとは養生の「見切り部分」をことです。
例えば、クロスを塗るのに「窓枠」を養生するとします。壁からどれだけ離してマスカーやマスキングテープを貼りますか?
貼るのは壁から2~3㎜の位置がオススメ。正確にはコーキングから1㎜くらい逃げて貼る感じです。大体2~3㎜くらいになると思います。
あんまり壁際カツカツに貼ってしまうと、養生をとるときに塗料が一緒にペロッとめくれてしまいます。
広く取りすぎると見た目が悪く、狭すぎると塗料がたまりやすくなります。
カッターを入れながら養生を外しましょうとか言いますが、十分にチリをとれば割と防げます。
コーキングを基準に貼るので「チリ」は場所によって微妙にバラつきがあります。チリ際は、マスキングテープを使うと、キレイなラインが出ます。
「チリ際」はマスキングテープを貼ってから、マスカーを張りましょう。マスカーだけだとラインが微妙にガタガタになります。
刷毛で塗るときにチリ際に塗料をためないように塗るのも、キレイに仕上げるためのポイントです。
まとめ:刷毛の上達にはとにかく数をこなす
刷毛でキレイに塗るコツを解説してきましたが、1番大切なのは数をこなす事です。
どんなことでも一緒ですが、上達に近道はありません。
- とにかく塗ってみる
- 失敗したら考える
- また挑戦する
上記を繰り返すことで少しずつ成長します。
仕事で毎日のように使っていても「こうやればいいんだ?!」と気づくまで時間がかかります。
この記事の内容は僕が刷毛を使っていて感じた大事なポイントをまとめたものです。なるべく早くコツをつかめるようにと、過去の僕に向けてのアドバイスといった感じです。
当時の僕と同じような悩みをもった人の役に立てば嬉しいです。