
もし、塗るのが下手だからと感じているならそれは間違いです。そもそも缶スプレーの性能に合わせた使い方をできているでしょうか。
この記事でわかること
- 缶スプレーの特性・弱点を解説
- 仕上がりを左右する塗装前の準備
- プロ並みの仕上がりにする塗装工程
現在は金属製品をメインに塗装しているので、それはもう役立つノウハウをバッチリと届けられます。
金属だけではなく、プラスチックなどにも応用できる内容になっています。この記事の内容を理解して実践すれば、必ずスプレー塗装の仕上がりが良くなるでしょう。
そのためには、缶スプレー特有の「弱点」をきちんと理解しておく必要があります。
手順さえ守れば塗るのはわりと簡単ですし、基本的にどの缶スプレー にも応用できるノウハウです。
※重要なことしか記載してないため、できれば時間のあるときにすべて読んでください
缶スプレーは吹き出す塗料の粒が粗いという弱点がある
プロが使う「カップガン」や「エアブラシ」に比べると、缶スプレーの性能はかなり落ちます。
缶スプレーが劣る理由
- 空気圧の調整ができない
- 塗料の出る量が決まっている
- 吹き出しのパターンが変えられない
缶スプレーは調整できない分、性能が低く、弱点が多いため塗り方でカバーしなくてはいけません。

塗料がダレやすい
スプレーから出る塗料の量を調整できないので、状況に合わせて塗り方を変えなきゃいけません。
いつもと同じではダメ
- 温度や湿度
- 塗る回数
- 塗料の種類
薄く、数回に分けて塗り重ねるとタレにくい。
例えば、1回塗装するのにも「タテ」のあとに「ヨコ」で仕上げるなど工夫が必要って感じですね。

好みのスピードで塗装できない
調整できない分、手の動きは完全に缶スプレー合わせ。すみません、スプレーによって若干違うので、感覚としか言えないのですが。
カップガンなら調整さえすれば、自分の塗りやすい速度でキレイに塗れるように調整できますからね。

仕上がりの肌が悪くなりやすい
缶スプレーって塗料がめっちゃ希釈してあるので、色が付きにくいし、タレやすい。
おそらく、多く塗ってしまったり、うすい部分があったりとなかなか均一に塗れていないはずです。
そうなると色ムラだったり、肌の感じに差ができやすい状態。そんなこと言われても難しいですよね。

広い面積を塗るのには不向き
慣れるまではシンプルな造りのA4用紙くらいまでにしといたほうがいいかも。
そもそも缶スプレーじゃ限界ありますしね。たまに車1台を缶スプレーで塗装する動画とかありますが、かなり大変です。
できなくもないけど、、、おすすめはしない。
スマホケースくらいのサイズが簡単なので、100均で買えるし練習用には最適ですよ。
要はテクニックでカバーするしかない
缶スプレーは何も変わらないので、自分が合わせてあげるしかありません。結局はテクニックが必要です。
必要なテクニック
- 下地処理の知識・方法
- 最低限の塗装テク
- 仕上げるための正しい手順
塗る技術は最低限でOK。
他のことに集中すれば仕上がりは良くなります。だいじょうぶです。
塗装前の下地処理・準備について
必要な道具
- 洗剤やシリコンオフ
- #240~#600くらいのペーパー
- 下塗りスプレー
※シリコンオフは脱脂剤です
今回は塗装がメインなので、錆びていないことを前提として進めていきます。
できるだけ汚れを落とす!特に油はヤバい
汚れはNG、基本です。
特に何かを塗り替えする場合、もし目に見えるよう汚れがあったら「中性洗剤」を使ってお湯で洗ったほうが早いです。
新品の金属なんかは、塗装の直前にシリコンオフで拭くだけで「脱脂」が完了です。
必ずペーパーなどで目荒しをする
目荒らしは密着性を高めるために必須。絶対に抜いてはいけない「足付け」という工程です。
簡単にいうと細かいキズをつける作業。ツルツルの「チラシ」を「和紙」のような表面にする感じですね。
キズをつけるわけではないので、無理に力を入れてゴシゴシする必要はない。

できれば下塗りで密着力を高くする
下塗りに迷ったらミッチャクロンという下塗りを使ってください。ふざけた名前ですが効果は保証します。
素材として固く、密着性が悪いステンレスでミッチャクロンの効果を試してたところ、、、
足付けのみだと、爪でカリカリするだけで塗料が取れてしまうのですが、ミッチャクロンを塗ると取れない。しっかり付着しています。

下地処理の作業内容を確認
ここまでのおさらい
- 汚れはキレイに取った
- 足付けはバッチリ
- シリコンオフで拭いた
- ミッチャクロンOK
ここまでOKですか?重要なのは、キレイな状態でミッチャクロンを塗ること。
塗装方法に関して触れてないのですが、20センチくらい離して塗ること。 あとはしっかり缶スプレーをよく振ってから使う。
原則として缶に記載してあることを守ってください。

缶スプレーで仕上げていく手順(クリアー塗装込み)
- 手順1:初めは色を超うす〜くサッと塗る
- 手順2:同じ要領で色を薄く塗り重ねる
- 手順3:仕上げ前の中間チェック
- 手順4:乾燥時間を守りながらクリアー塗装で仕上げ吹き
- 手順5:必要に応じてペーパー+磨きで仕上げる
さてここからが本番のような感じですが、基本的にたっぷり塗装しません。もしタレない感覚がつかめたら攻めてもOKとしましょう。

手順1:初めは色を超うす〜くサッと塗る
ここではまず色をつけるための準備、「引っかかり」をつけていきます。
目では確認できないし、触ってもわからないレベルの「おうとつ」をつける作業。
上記の「タレない」まで塗装を吹き付けると表面はザラッと、「限界ライン」まで攻めるとツルっとした仕上がりになります。
もちろん目で見てもわからない感覚の世界。ただ、表面のザラッと感は磨けばキレイになるので、塗料の厚みさえ付いていれば「タレない」くらいで塗ってもOK。
捨て吹きとも言いますが、ベースをつけてやって「タレ」や「ハジキ」を防ぐ効果があります。

手順2:同じ要領で色を薄く塗り重ねる
ここもまだベースの状態です。色さえ付けばOKですから楽に進めてください。5回位に分けて色を付ける感じで、1回に塗装する量を減らしてください。
塗装イメージ
- 捨て吹き:かなりスッケスケ
- 1回目:まだスケスケ
- 2回目:スケスケです
- 3回目:やや濃くなる / 乾燥
- 4回目:色が付いてきた
- 5回目:しっかり色を止める / 乾燥
※缶に記載してある乾燥時間を守ってくださいね
きちんとした乾燥時間は2回ほど。髪を乾かすドライヤーを使いながらだと、乾燥時間は1回でもいいくらい。
仕上がりは「クリアー塗装」に任せるのでとにかく色がしっかり付いていればOKです。

手順3:仕上げ前の中間チェック
中間チェックは、色が完了して十分に乾燥させた状態で行ないます。この段階で「大きなゴミ」や「タレ」があればペーパーで修正してください。
何もなければ、#400以上のペーパーでサッと毛羽立ちを取る程度でOK。

手順4:乾燥時間を守りながらクリアー塗装で仕上げ吹き
色付けと同じ感じでOKです。
クリアー塗料(つや有り)
- 捨て吹き:かなりテキトー
- 1回目:全くつやがない
- 2回目:まだつやはない
- 3回目:ややつやが上がった / 乾燥
- 4回目:ちょっとつやを上げていく
- 5回目:つや有りになった / 乾燥
※缶に記載してある乾燥時間を守ってください
もしタレが怖い場合は、そこまで攻めなくてもだいじょうぶです。

手順5:必要に応じてペーパー+磨きで仕上げる
もし仕上がりがイマイチな場合
- ゴミが付いてしまった
- 肌触りがガサガサだ
- タレているところがある
上記のような状態でもペーパーで直せます。クリアーの層があるので、ちょっと磨いたくらいじゃ色も取れません。
つや有りなら気にせず磨いてもOKってことですね。
磨き前提で仕上げるのなら、そもそも塗装の仕上がりなんかそこそこでOKです。

仕上がりがキレイになるおすすめの缶スプレー
おすすめの缶スプレーを紹介します。
ミッチャクロン
塗るのが簡単なのに効果は抜群。
たっぷり塗るものではないので、2回ほどに分けてシューッと塗ればOKです。 プラスチックや金属を塗装するときのお供ですね。
2液型ウレタンスプレー
使い切りというデメリットはありますが、高性能のウレタンスプレーです。
2液型というのは、「主材」と「硬化材」を混ぜて使うことで固まる塗料。 密着性や耐候性など、塗料としての性能が高く仕上がりもキレイです。
ダイソーの缶スプレー
100円買える缶スプレーとしては十分な性能ですよ。量が少ないので、少量で使いたいときに便利。
色の種類は少ないですが、圧もいい感じでしっかり塗料が出ますよ。
まとめ:缶スプレーでも手間をかければプロ級の仕上がりに!
缶スプレーでうまく塗るには
- 下地処理を丁寧にする
- たっぷりではなくサッと塗る
- 塗る回数を増やして厚みをつける
缶スプレーの性能に合った使い方をすれば、プロ並みの仕上がりにもなります。
スプレー塗装はきめ細かく、薄い塗膜を作るもの。たっぷり塗るのではなくて、数回に分けて塗ると成功率がアップします。
