実は外壁の劣化=築年数というのが成立しないケースがよくあります。10年はただの目安にしかなりません。
今まで大工、瓦、塗装の仕事を通して15年間、色んな住宅を見てきました。そこで分かったのが、住宅によってトラブルが発生する年数がバラバラだったってこと。
家を建ててから5年でトラブルが起きる家もあれば、20年大きなトラブルがない家もあるんです。
結論になりますが、外壁は「造り×環境×種類」で塗り替え時期が変わります。
この記事では、家の塗装時期を見分けるためのチェックポイントを解説。簡単にチェックできるので、ぜひあなたの家でも試してみてください!
外壁塗装のタイミングを築年数で判断してはいけない3つの理由
繰り返しになりますが、外壁塗装のタイミングは「造り×環境×種類」で決まります。
- 造り→住宅のカタチ
- 環境→住宅が建っている環境
- 種類→使われている外壁の種類
年数が経てば劣化するのは当たり前。まずはしっかりあなたの目で確認しましょう。
住宅の造りによって外壁の傷みが違う
家の造りが複雑だと外壁は傷みやすくなります。凹凸やつなぎ目が多いと、どうしても家に無理がかかるんですよね。
- 水はけが悪い
- 風通しが悪い
- 手間がかかる(修理など)
古民家みたいなシンプルな造りは傷みにくい。あれって家のことを考えられた造りなんですよね。
昔の職人の知恵はすごい。
住宅によって使われている外壁が違う
傷みにくい外壁=塗装がなくても強い素材の外壁になります。
塗装に依存している外壁は、塗装の効果が切れると性能がガクッと下がっちゃいます。
金属系サイディングなんかは素材自体が強いんです。ここは重要なので、記事の後半で詳しく解説します。
住宅環境によって劣化スピードが違う
家の周りの環境は、外壁に良くも悪くも影響します。田舎や都会でも大きく変わるかもしれないですね。
- となりの家との距離
- 敷地内にある植物や木
- 海の近くや山の近くにある
基本的に風通しのよい場所は傷みにくくなります。湿気はどの外壁も苦手なんです。
外壁塗装の時期は家を建てた年数に関係ない!外壁の劣化具合をチェック
年数に関係なく起こるトラブルを避けるために、日頃から外壁の状態をチェックしておきましょう。
危険度①:外壁を触ると手が白くなる
チョーキング現象は塗装の効果が切れたサイン。ここを放置すると、外壁の劣化が進んでいきます。
この状態が塗装をするタイミングとしてはベストです。なるべく日がよく当たる場所(南とか東側)をチェックしましょう。
チョーキング現象が起きた段階では、まったく慌てる必要はありません。ただ、ここからは外壁の素材のみの防御力になるので注意です。
塗り頃には間違いないんですが、外壁の種類によって傷むスピードも違います。
外壁の状態を見ながら判断していきましょう。
危険度②:外壁のひび割れが気になる
外壁やシーリングのひび割れは、塗装では直せません。小さなひび割れ(ヘアークラック)なら下塗りでカバーできます。
外壁にひび割れが起きている原因が重要ですね。家のゆがみが影響しているのなら補修でもOK。年数が経つと、外壁が少しずつ下がったり歪んだりします。
ひび割れの箇所が多い場合はちょっと危険。外壁全体が弱っている可能性も考えられます。
危険度④:外壁がボロボロに剥がれてきた
剥がれが起きた時点で、外壁の強度はかなり弱ってます。できれば補修よりも、張り替えが確実です。
- 外壁が水を含んで凍結した
- 外壁の内部から腐食してきた
- 外部から何かしらの衝撃を受けた
ここで注意したいのが、塗装が剝がれているのではなく、外壁そのものが剝がれるケースが多いこと。
弱っている外壁に塗装をしても効果は今ひとつ。部分補修できないのなら、塗り替えよりも張り替えをおすすめします。
外壁の種類別で違う塗装のタイミングと症状
ここからは外壁の種類別に塗装のタイミングを提案していきます。よく住宅に使われている5つ外壁をピックアップしました。
- 化粧の窯業系サイディング
- 窯業系サイディング+吹付塗装
- ガルバリウム鋼板などの金属系外壁
- モルタル壁(コンクリート)+吹付塗装
- 木材の外壁(木部の柱などが見えている)
塗り替えにおすすめの年数をそれぞれ発表しますが、住宅によって違いはあります。あくまでも「目安」として考えてください。
10年以内の塗り替えを推奨:化粧の窯業系サイディング
住宅に最も多く使われている、初めから塗装されているタイプの窯業系サイディング。
塗装で守られている代表的な外壁なので、塗装の効果が切れるとかなり弱いです。
外壁のグレードによって耐用年数も変わりますが、塗り替えするならチョーキング現象が起きた頃がベスト。
15年以内の塗り替えを推奨:窯業系サイディング+吹付塗装
無塗装の窯業系サイディングの上に「リシン」などの吹付け塗装がしてある外壁です。
化粧の窯業系サイディングとは違い、表面がザラザラした「骨材」が一緒に塗装されているため耐久性は高いです。
吹付けといっても種類は様々ですが、シーリングも一緒に塗装で守られているのが耐久性が高いポイントですね。
表面の塗装が弱くなっても「骨材の厚み」でサイディングやシーリングを守ってくれます。
20年以内の塗り替えを推奨:ガルバリウム鋼板などの金属系外壁
ガルバリウム鋼板はサビにくい金属素材。メンテナンスフリーではないものの、腐る可能性はかなり低いです。
素材自体が強いので、チョーキングが起きてから放置してもけっこう耐えてくれます。
塗り替えをするにしてもトラブルが少なく、15年位放置してもきれいな状態(色褪せのみ)が多い外壁です。
ただし、シーリングは劣化するので、10年以内にシーリングの打ち替え工事だけでもしておくと安心です。
13年以内の塗り替えを推奨:モルタル壁+吹付塗装
塗装方法としては窯業系サイディングと一緒ですが、かなりの頻度でひび割れが起きてしまいます。
特に「誘発目地」がない大壁(つなぎ目がない壁)は注意。
誘発目地とは、あらかじめ「目地」を作り、全体がひび割れしないようにすること。歪みが起きるとモルタルの薄い部分が割れるようになっています。
目地の部分をシーリング処理をすることで、歪みにも強いモルタル壁になります。
8年以内の塗り替えを推奨:木材の外壁(木部の柱などが見えている)
木材の耐久性は強く、腐りにくいものの、きれいな状態を保つのが大変です。
最終的には木目をつぶすような塗替えになることが多いです。外壁の中でも塗装によるメンテナンス周期が短く、コストがかかってしまいます。
暖かみもあって見た目もおしゃれなんですが、メンテナンスは大変です。
まとめ:外壁を「塗装」で長持ちさせるには早めのメンテナンスが必要!
外壁塗装をするタイミングは、築年数は目安程度にしかなりません。
15年以上もつ場合もあれば、5年程で劣化が始まる場合もあります。 実際にあなたの目でチェックするのが効果的です。
- 危険度①:外壁を触ると手が白くなる
- 危険度②:外壁のひび割れが気になる
- 危険度④:部分的に外壁が剥がれてきた
上記のような症状が出ても焦る必要はありません。適切な補修をすれば、あわてて塗装しなくてもいい場合もあります。
外壁の状態が良ければ塗装の費用も安く済むので、簡単なチェックだけはしておきましょうね。
あなた家の外壁に合ったタイミングで塗り替えをしましょう!
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